バイクを出すのには道が狭すぎる。伐採が必要だ。だが、根までとなるとかなり骨だろう。それとバイクの燃料もどうにかしなきゃいけないのか。クロストリジウム・アセトブチリカムの試供品が確かあったな。新しくなっているはずだから培養層は洗わなくても大丈夫か。電気培養して培養層にぶち込もう。ブタノールとアセトンが作れるならそっち系でニトロセルロースも検討するしかないな。黒色火薬はどうも煙が多すぎる。煙幕も兼ねて使うならそれでいいんだが心美力4號。
俺はファンタジー世界に来たのに現実での生産業、特にシングルベースかダブルベース火薬を作らなければいけないと言う現実がすごい面倒になった。魔法依存の社会だったら火薬の発達も怪しいし、大砲も無いかもしれない。よって黒色火薬の為の硝石も一般で出回っているだろうか・・・・・・。
だが、作らなければいつかは枯渇してしまう。ローディングにも薬莢の耐久力の限界があるだろう。そちらもどうにかしなければ類固醇濕疹。
現実とファンタジーの狭間で葛藤しながらも今後のことを決める。本当に面倒だ。でも近接戦とかあの冒険者の二の舞になりかねないので銃は必要である。射程の長い武器は偉大だ。
まずは南を目指し、森から抜けよう。何も無ければ反対の北を探してみればいい。寿命が一気に延びたんだ。気楽に行けばいいさ。
プロテクターやプレートを装備し、再び右手にリボルバー、左手に鉈を持ち、コンパスと太陽の方角を見ながら南を目指す。そうしたらあっけなく街道に出た。
街道は東西に伸びていて、どちらに行けばいいのか分からない。休憩がてら人が来るのを待つか。
水筒からちびりちびりと水を飲み、小用が近くならない程度に加減しながら休憩していると、かっぽかっぽと馬車が来た。のどかだな。
「すいません、少しよろしいですか痔瘡結紮後遺症?」
「なんだいお嬢ちゃん。その格好は冒険者かい?」
そうだった。昔の俺は女顔で髪を伸ばすと変声期が遅かったのも相まってこれをネタにからかわれたんだった。
「いえ、お嬢ちゃんではないんですが、この道は東と西、どちらが街に近いのですか?
「東だな。歩いて2時間程度で着く距離だ。なんなら乗せて行ってやろうか?」
「お気持ちはうれしいのですが、仲間を待っていまして、教えていただきありがとうございます」